左美濃急戦、手筋の角の受けから一気に勝ち切る

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左美濃急戦が好きだ。

玉が堅く、攻撃形も理想的。最強戦法の一つだ。

 

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左美濃急戦をやると、この横歩取りをよく食らう。

いきなり歩を取られて嫌な感じだが、これには手筋の受けがあって悪くない。むしろありがたいくらいだ。

 

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将棋は主張が重要だ。

相手は歩得を主張しているので、こちらもなにか主張点をつくらなくてはいけない。それがこの77角だ。

相手が86飛と形をよくする手を消し、飛車の働きを悪くさせて主張をつくるのだ。

 

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相手はそれはかなわんとばかり飛車を引いて、次の84飛を狙う。

さっきの話を踏まえれば次の一手もおわかりだろう。

 

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77角〜66角というのは不思議な手順に映るだろうが、これが手筋の受けだ。

とにかく飛車を自由にさせないのがこちらの方針になる。

 

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相手は歩越し飛車の悪形だ。攻めにもあまり効いていないが、それ以上に受けに効いていない。

相手が62銀と上がってきたところだが、ここで重大なスキが生じてしまっている。

 

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82歩。教科書通りの攻めだ。

敵の飛車がいかに酷い形かおわかりになっただろう。

 

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桂香を取り、ガラ空きの93に角を飛び込んだ。優勢は明らかだが、相手は86歩と垂らして嫌味をつけてきた。

自分の優位をどう拡大するか。これがうまい人は将棋がうまい。

 

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私は受けの棋風だ。駒得したら少し受けに回るのが良いと信じている。

77香一つ打てば相手の飛角の効きを防ぐことができるし、馬を引き付ければ上部が厚くなり、かなり攻めづらくなる。

優勢だからこそ冷静に、まずは自陣の憂いを消した。

 

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相手は勝負勝負と角道を開けて銀を打ち込んできた。

ここは大局観が問われるところ。局面を冷静に分析し、将棋のつくりを決めていく。

 

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私の選択は48飛。これが正しい大局観だ。

 

87銀の攻めを受けるなら86馬と根本の歩をとってしまうのがいい。しかし、よくよくみるとこの攻め自体は厳しくなく、見切りやすいことがわかる(後述)。ならばそろそろ攻めに転じたみたいところだ。そこで改めて局面を見渡すと、①飛車が遊んでる ②45に位がある という二つの重要な事実に気づく。この二つに着目すれば48飛は自然な発想だろう。

 

8筋の攻めを適当にいなしつつ、4筋から殺到する。そんなイメージで指していた。

 

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相手はとにもかくにも87銀から攻めるしかない。

しかし、この攻めはやはり見切りやすいのだ。86馬から上部を開拓するような指し方もあるが、もっと丁寧に辛く指したい。

 

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金を逃げる手が成立するのが痛い。

次に88歩と受けられては完封なので、相手はとにかく暴れてくるしかないだろう。

 

最強の受けをチラつかせ、相手に無理攻めさせ、受け潰す。

得意の勝ちパターンだ。

 

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先ほどより食いつかれてるようにも見えるが、その代償に飛車をとれたのが大きい。87馬と受けに回りたくなるが、相手が持ち駒を持っていないこの瞬間に利かしておきたい手がある。

 

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合駒を打てないこの瞬間。

 

王手で飛車を打ちおろすのが急所中の急所だ。強い人はこういう細かいところを逃さない。

 

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「8筋の攻めを適当にいなしつつ、4筋から殺到する」。

 

宣言通りの展開だ。

 

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相手は51桂と懸命の粘り。

それでも43銀と放り込む手はありそうだが、ややリスキーだ。もっと丁寧に勝ちきりたいところ。

 

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87馬と自玉を盤石にして勝負あり。

65馬や43銀など厳しい手が残っており、必勝の体勢になった。