「俺は絶対に負けない」。地獄の入玉大逆転劇!!

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雑な仕掛けを咎められ、敗勢に。心はもう完全に折れていた。

 

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指すとしたらこれくらいしかないだろう。二枚の飛車で攻められ続けてはもたない。

 

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しかし、これでは角が空ぶっている。飛車を手に入れるためには仕方がなかったのだが、こんなひどい手を指すしかないようでは形勢は大差だ。

 

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59銀を打たれてしまっては負けだ。83香成の詰めろを見せた強い受けで勝負に出た。

 

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龍を消すことはできたが、手堅く肝心の香車を取られてしまった。形勢は相変わらず必敗だ。

ここではもう投了を考えたが、私は最後まで投了しないと決めている。そうやって幾度となく必敗の将棋をひっくり返してきたのだ。

 

54角とさばき、まだまだ戦い続ける。

 

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しかし、相手の指し方がうまい。26桂と守りの金を狙いながら挟撃態勢を築きにきた。

 

ここで金をかわす手はもちろんない。

 

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ガジガジとセンスのカケラもない攻めで押し切られてしまう。相手の攻め駒を増やしてしまうような受けはNGだ。

 

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そこで、遠くから飛車を利かして受けることにした。善悪は微妙なのだが、強大な龍の守備力で相手を惑わす狙いだ。

 

必敗の将棋を自分の力だけで逆転するのは不可能。ここからは相手のミスを誘発する別のゲームとしてご覧いただきたい。

 

「将棋」ではなく、「勝負」の世界だ。

 

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さて、龍を引きつけて守備力を爆上げしたところ。ここで26銀と打たれていたらこちらに勝ち目はなかっただろう。

 

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入玉さえさせなければ向こうは勝ちなのだ。しかし、相手は強いがゆえにとんでもない失着をおかしてしまう。

 

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53馬。遊んでいる馬を自陣に引きつけ、こちらの上部脱出阻止を目論む最強の一手。このような手を発想するのは強者の証拠だ。

 

しかし悲しいかな、相手は気の緩みゆえにこの手が悪手であることに気づかなかったのだ。

 

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同桂成。なんと取られてしまったのだ!ここで相手は完全にフリーズ。自分のとんでもない失着に動揺してしまったようだ。

 

形勢が必勝すぎると、人はこの上なく油断する。「必勝の形勢は逆転しやすい」というのは、逆説的な真実なのだ。

 

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「敵の打ちたいところに打て」。まだまだ形勢は悪いが、かなり難しくなった。

 

相手の動揺を突くため、このあたりは意図的に早指しで相手を惑わせている。角を取られた動揺が消える前に、もう一度ミスをして欲しいのだ。

 

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しかし、相手はまだなんとか冷静さを保っているようだ。じっと桂馬で縛られて困った。

 

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ノータイムで銀を上がって受けたが、私はこの後に読み落としをしていることに気づいた。

 

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相手は当然歩で王手してくる。私はこの手を同銀で凌げると勘違いしていたのだ!

 

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同銀には35歩で痺れる。これを見落としていたのだ。

 

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そこで玉をかわしたのだが、この銀打ちが痛い。せっかくの逆転ムードを不意にしてしまったかと後悔の念がよぎるが、気にせず突き進む。

 

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ノータイムで龍を見捨てて、前へ、前へ。

こちらのと・馬・銀が手厚く、相手としては焦る展開だろう。とにかく相手を焦らせ、動揺させ、パニックに陥らせることだけが狙いだ。

 

善悪を超越した世界を味わって欲しい。

 

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相手は要の桂馬を捨て、なりふり構わず入玉を阻止しにかかった。一気に入玉を狙うなら34歩といった感じの手になるが、それでは相手の動揺は誘えない。

 

とにかく相手の読み筋をかわし続けるのが肝だ。

 

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「龍を捨てて一気に入玉!」というこちらの指し手に対し、「龍はいつでもとれるから、まずは入玉阻止!」と応じてきた相手。

 

では、そのとれるはずだった龍にいきなり逃げられたら?

 

そう、これが逆転の呼吸なのだ!

相手は馬をうっかりとられ、とれるはずの龍に逃げられ、もはや冷静ではいられないはずだ。

 

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この銀の成捨てはうまい。これをとると25金の王手龍取りがかかってまずい。

 

そういう相手の狙い筋はとことん無視してしまおう。

 

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ここもやはりノータイム。金に紐をつけつつ、83の地点を睨んだ、盤上この一手の好手だ。

 

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怖い格好だが、こちらの玉は不思議と寄らない。こういう「寄りそうで寄らない」玉は逆転を引き起こしてくれやすいもの。なぜなら、「もどかしい」からだ。

 

とにかく負の感情を相手に叩き込み、冷静さを奪っていくのが逆転のコツだ。

 

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ついに入玉成功。とはいえ、これでも正確に指せばまだこちらが悪いのだろう。

 

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例えば、48飛から駒をボロボロとられたらどうだろう。点数勝負になったら勝てない気がする。

 

しかし、これはあくまで「冷静だったら」な話だ。しつこいようだが、私はすでに相手を混乱に陥れることに成功している。確かに相手の指し手はひどいのだが、それはこちらの心理攻撃にやられた結果なのだ。

 

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相手はあくまで詰みにこだわって来ている。この手は確かに怖いのだが、34歩と受けてしまうとその歩が負担になってしまいそうだ。

 

ということは、、

 

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グイッと強く前進。これで不思議と捕まらないのだ。自分の香車が邪魔して詰まないとは、なんとも皮肉なものだ。

 

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相手の厳しい追撃が続くが、、

 

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なんと、これでギリギリ詰まないのだ!相手に金駒が二枚あれば簡単に詰むのだが、あいにく一枚だけ。私を勝たせるためだけにつくられたような局面だ。

 

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角を引いて21飛までの詰めろをかけてきたが、、

 

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22歩。これでもう寄らない。

歩が二枚のコンパクトな囲いだが、なぜか恐ろしく堅いのだ。実戦はここで投了となった。

 

まだまだ指せば難しいと思うが、戦意喪失したのだろう。必勝の将棋がこうなってしまっては仕方ないところかもしれない。

 

 

 

私の今まで指した将棋の中でもベストファイブに入る大逆転だった。