銀冠穴熊、強大な厚みと受けで敵を圧殺!

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四間飛車には銀冠穴熊で指すのが好きだ。

この戦法には有力な対策があり、プロ間ではめっきり指されなくなってしまった。しかし、その対策を知っていて尚且つ使いこなせる人は相当少ない。アマチュアレベルではまだまだ現役の戦法と言えるだろう。

比較的安全に堅陣に囲え、尚且つ攻撃力抜群なのが魅力だ。

 

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相手は45歩といきなり角道を開けてきた。こうなると穴熊まで組むのは難しいかもしれない。

香車が変な形になってしまったが、普通の銀冠くらいで満足して戦う覚悟を固めた。

 

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33角と再び打ち据え、65歩から角の睨みで攻略しようとしているようだ。実戦はやや不満な序盤にしてしまったかと思っていたが、冷静に見れば77桂から固めて一局の将棋だった。それなら互角以上に渡り合えただろう。自分だけ角を持ち駒にしているのが大きい。

 

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「角には角」とばかり、77角と打ってしまったが疑問手だったかもしれない。65歩は誘いのスキで、反動を生かして戦うつもりだったが、真のスキだったか。

本譜は寝起きに指したこともあり、序盤がやや雑になってしまっている。

 

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やはり、65歩。

同歩とはとれないが、次に66歩や46歩から攻められる味があって少し嫌味だ。67金から厚く構えて迎え撃つ手もあるが、あまり面白くない。

序盤から不本意な展開になってしまったこともあり、本譜は積極的に迎え撃つことにした。

 

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とにかく相手の角が目障りだ。弱点の角頭に照準を合わせ、反撃の筋を見せることにした。

善悪は微妙だが、実戦らしい対応だったように思う。

 

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相手は冷静に3筋を受けてきたが、これが大悪手で形勢が傾いた。

次の一手で景色が変わる。

 

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65歩。

角が動いたこの瞬間、歩を取る手が成立した。

 

同桂には44角 同飛 55角の王手飛車で勝負あり。

泣く泣く77角成と取ってきたが、一歩得の上に6筋の位を取れて有利は明らかだ。

 

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この局面は悩ましい。有利は明らかなのだが、その有利をどう具体化するかが問題だ。

28飛と形を整えて待つのが一案で、それが最善だったかもしれない。本譜はもっと積極的に良さを求めに行った。

 

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飛車を寄った以上はこの歩を突きたくなる。

しかし、欲張りな手にはリスクがつきものだ。

 

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相手は当然、角を打って対抗してきた。

こういう手を嫌うなら28飛でキズを消すべきだったのだが、本譜は強気な進行だ。

 

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3筋の歩を切ったのが大きいのか、それとも馬が大きいのか。お互いの主張がぶつかり、まだまだこれからの勝負だ。

67金と上がって厚く指し、相手の応手をうかがった。

 

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こちらの手に乗じて35銀と立ったのが好手。ややしくじったかと感じた。46歩からの仕掛けの筋がチラつく。

 

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とはいえ、まだまだ勝負はこれから。88玉と入城し、4筋からの攻めをうまくいなして6筋から反撃するような流れをイメージした。

 

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少し進んで、相手が飛車取りに角を打ち込んできた局面。

ひとめ、この手は悪手だと感じた。遊んでいる飛車を角で取られても痛くもかゆくもないからだ。飛車を逃げずに攻めるような手が第一感だったが、よくよく見ると相手の角はあまり働きが良くないことに気づいた。ならば一旦飛車をかわし、もっと得をする順がありそうだ。

 

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68飛とかわすのが好手。相手の唯一の楽しみである、6筋逆襲の筋を潰した。

相手はこんなことをされたら焦って何か動いてくるはずだ。案の定、いきなり59銀と引っ掛けてきた。

 

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相手は角をなって飛車を狙ってきたが、この飛車には金のヒモがついている。相手にムダな銀を打たせた分、一度逃げた甲斐があったというものだ。

 

さて、あとは攻めだけ考えれば良い。

6筋の厚みを生かし、美濃の弱点を的確に突く。

 

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この控えの桂が激痛だ。74桂と王手すれば必勝になるが、それがとにかく受けづらい。

相手は無理やり63銀と受けてきたが、金を取っておいてわかりやすく優勢だ。

 

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ペタッと53金。この手は攻めというよりは一手パスのような感覚で指している。

 

もちろん、62金や63金、64香など次に厳しい手がたくさんある。しかし、金という高い駒で攻めているし、なにより詰みには繋がらない手だ。

 

なんとなく攻めに効いてる駒をそっと置いておいて、相手の出方を伺うような指し方だ。

 

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相手は59の銀にヒモをつけながら飛車を打ってきた。次の66桂は確かに厳しいが、どうもこの飛車は狭く見える。

何か手があるはずだ、という直感をもとに論理を組み立てていく。

 

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ひとまず飛車を取り、金取りの先手で攻防の角を放つ。ある狙いがあって44に打ったのだが、26に打つ手もあったようだ。

 

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金を引いたのが決め手。これで飛車が詰んでいる(角を打った効果で66飛成と逃げられない!)。

「飛車が狭そう」という感覚を、「いかに飛車を捕獲するか」という計算に繋げられたのが良かった。

 

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飛車をとって勝負あった。相手は99金と筋の悪すぎる手を指してきたが、これはどういう意図だったのだろうか。左右挟撃感を出したかったのかもしれない。

 

さて、勝勢ながら相手の陣形はなかなかの堅さを誇っていて倒すのは骨が折れそうだ。こういう時は発想を転換し、相手の攻め駒を根絶やしにして受け潰したほうが早く勝てることが多い。

 

とはいえ、慌てて59金ととるのは67桂のふんどしがあってやや面倒だ。受け潰しには冷静さがいる。

 

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玉で銀を取りに行ったのが決め手。相手は万策尽きて無念の投了となった。